君想論 〜2人のサヤカ〜
「なぁ、梧」
「んだよ……??」
「お前、“サヤカ”って言ったよな……??」
「……それがどうした……??」
今に至るまで桐野くんは、[中二病]云々の話を散々してきた。
言ってみれば、これは……まぁ、悪あがきみたいなものだ。
一度はその結論に至ったにも関わらず、[多重人格]だなんてものを鵜呑みにすることに抵抗を感じてしまったオレが、都合の良い解釈にねじ曲げたものさ。
しかし、それはもう止めることにした。
いい加減、疲れてきたしな。
「[梧 清花]の中にいるもう1つの人格が“サヤカ”。だから、“清花”と“サヤカ”になるワケだ」
「……それが何だよ……!!??」
素直に信じよう。
もう[中二病]どうたらを言うのは止めだ。
[梧 清花]は“多重人格”の持ち主。
コレはもう揺ぎない事実としよう。
だが、それに当たって1つの懸案事項がある。
読者諸君の中には感じてはいるのではなかろうか。
・・・・・・・・・
いい加減ややこしい。
「正直、“清花”と“サヤカ”じゃ呼び分け辛いんだよ。何で2人とも読みが同じなんだ??」
読者諸君は我々の会話を[文字]で認知しているからそうでもないかもしれんが……
口頭で話している身としては、読みが全く同じこの“2人”を呼び分けるのは難しい。
「お前らは[1人]でもあるから事足りてたかもしれんが、第三者はそういうワケにもいかないんだよ」
「知らねぇーよ」
ここからでも[梧 清花]の性分が少し窺える。
“2人”なのにも関わらず、両者とも『さやか』のままでは第三者には伝わらない。
今まで他人との関わりを無視してきたことが表れてる。
「新しい名前が必要だな」
「はぁッ!!!???」