チャンピオン【完】

この衣装、その職業の方が着るやつだ。


「セーラー、... 戦士です... 」

『えっ... !?』

そこにいた兄貴以外の全員が、衣装の細部に見入った。


言われてよく目を凝らせば、どこか女子高生の制服っぽくなくもない。


スカートの位置のヒラヒラはプリーツ?

前掛けを後ろに間違ってつけちゃった感じのそれ、セーラー服の襟?


... が、圧倒的に布(皮)の面積が少ないような気はした。



明日の朝刊にはきっと、お堅いうちの団体がついにお笑いプロレスに転向したと出るに違いない。


K-1やら総合格闘技やらに客もテレビ中継も持って行かれ、プロレス自体が下火な現在。

何か真新しいことをしなくては、話題にもならないのはただの女子高生の私にもわかる。



『貴丸さんの日本復帰戦がタッグマッチと言うことですが... 組むのがそのセーラー戦士と言うことでよろしいのでしょうか...』

「... そうです」

記者さんも戸惑っているが、答える兄貴の口振りにも覇気がない。

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