チャンピオン【完】
そこに自分が参戦するなんて、完璧に有り得ない。
「なんで... なのかなぁ」
何故、兄貴は突然私にリングにあがれなんて言いだしたのだろう。
経営難なのはわかるけど、何か面白い呼びものが必要なら、女装させた練習生でも放り込めば、それはそれで笑いはとれるんじゃないだろうか。
私の問いかけに、道もわからんくせに前を歩いていた貴丸が立ち止った。
前を見ていなかった私はその壁のような体に当たって跳ね返った。
「だから、それは謝っただろ?」
朝のアレか。
ちっとも疑問の解消になっていない気がした。
怪訝な表情のままの私に、今度は貴丸が戸惑ったように言った。
「お前もしかして、知らないの?」
「何を?」
「... 俺の、秘密」
あんたの秘密? そんなもの知らない。
だって興味ないもん。