チャンピオン【完】
誘拐されている女子高生に見えないように気を遣い、私は少し離れて歩くことにした。
聞こえるように言ったつもりだったが、聞こえなかったらしい。
または気にしないらしい。
「なんかメシ食おうぜ。何食いたい?」
「美味しいパスタ」
「肉にするか」
決めているなら聞くな、と私は思った。
が、大切な事を思い出した。
「その前に! 買い物したい!!」
危うく忘れるところだった。
それが目的でしたくもないデートしているのだった。
「ふーん、かまわねえよ? 何が欲しいんだ」
「アクセサリー! ネックレスが欲しい」
服とバックも欲しいけど、映画見ちゃったから貴丸の手持ちが心配だ。
化粧品は100円均一で買うから良いや。
先月私は誕生日だったと言うのに、入院中のパパからも、忙しい兄貴からも忘れ去られていた。