チャンピオン【完】

あれだけ強そうな貴丸が、あんなガチで練習しているのだ。

タッグと言う事は一瞬でも私が混ざってしまう事があるに違いない。死ねる。



兄貴は話題を変えることにしたようだった。

私の首元に僅かに覗くオープンハートに目を止めて言った。


「そのネックレス、どうした?」

「言うの忘れてた... ! あいつが土曜日に買ってくれたの。ほんとにもらっていいのかなぁ」


予算オーバーだから、兄貴もお礼言ってくれよ。

誕生日プレゼントも買ってくれないあんたにも責任がある。


「いいよ♪ デート、楽しかっただろ?」

「は? 全然。超気不味かったし疲れた」

「あれ、そうなの? 貴丸は詩のこと好きなんだけどな☆」

フン、好かれてなどいない。

あいつは私のご機嫌をとって試合がしたいだけだ。



「帰って来た日俺にさ、『お前妹誰かととり替えた?』って、詩が綺麗になった事すっごく喜んでたんだよ♪」

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