灰色の羽
はい、やっぱり返答なし。


かわりに少女はチャーの顔を不思議そうに見ていた。

もちろん不思議そうと感じたのは私の主観。


「チャー、しつこい男は嫌われるわよ。」


あまりにしつこかったので私が助け舟を出した。

「えーだってさー!」


不満そうな顔でチャーは、


「名前わからないと呼べないじゃん?」


「確かにそれには一理あるかも。」


パトがスープのおかわりを少女の前に置き、空の食器を取りながら付け加えた。


「名前教えてくれないかな?」


パトも少女に問い掛ける。


私は少し期待した。



もしかしたらパトの質問には答えるのでは?



しばし間をおいたあと、


「ダメかー答えてくれないや。」



期待はまたしても沈黙でやぶられた。
パトもさすがに苦笑いを浮かべている。


「別に名前なんてどうでもいいじゃない。そんなの個人を識別するための記号にすぎないわ。」


パトがその子のおかわりと一緒に持ってきた新しいコーヒーをすすりながら私は言い、さらに続けて、


「そんなに呼びたいならあだ名でも付けてあげれば?」


「あ、なるほど!」


チャーは妙に納得したらしく大げさにリアクションをとった。



「じゃあクロ!」



なんとも早い思考、



「なんで?」

パトがすぐに疑問をぶつける。


「髪が黒いから!」


「却下。」
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