灰色の羽
新婚夫婦を思わせるようなセリフを天然で吐いた後に、パトはせっせと学校へ出掛けて行った。



途中でミイと無意味に戯れていたチャーの首根っこを掴んでいったのを付け加えておく。





さて、残ったのは私と捨て少女なわけなのだが、そのあと少女は三杯目のスープをおかわりをしてようやく満ち足りたらしい。



私はよそってあげた後、その様子をコーヒーをすすりつつ眺めていたのだが、食べ終えた後の少女は意味があるのかないのか分からないが、ひたすら私を見つめて微動だにしない。




何が楽しくてそんな見つめるのよ…



あーもうやだ、




その沈黙に耐えかねた私は仕方なしに一計を案じた。




リモコンを手に取り、おもむろにテレビの電源を入れる。



そして、幼児向け番組にチャンネルを合わせ、ミイの軽い体を持ち上げてテレビの前に座らせた。




苦肉の策だ、





「……。」






するとどうだろう、半ば投げやりだった作戦は意外にも実を結ぶ結果になった。



お得意のだんまりこそしているものの、その視線は画面に釘付けになっている。



それはあたかも、かつて桃源郷を見つけた漁師を思わせる程に、ミイは目を爛々と輝かせ嬉々と番組に見入っている、


ように見えた。




もちろんこれも私の勝手な憶測で、ミイの無表情ぶりにはそれ程変化はないのだけれど、なぜか無意識的、または直感的にそう感じたのだから仕方がない。




けれど曲がりなりにも結果を残したのだから、及第点くらいはいただきたいものだ。




と、自画自賛していても徒労と過ぎてしまっては意味がない。



せっかく得たのだから有効利用してあげないと。
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