いばら姫と王子様 ~AfterDays~
 
悪い、煌、玲。


毎日、夜と朝、携帯で芹霞の声聞くのは赦してくれ。


それとメール――。


俺は書き方がよく判らない。


メールなんてものは連絡事項でしか使ったことがない。


文字よりも、声で繋がりたいから。


だけど、俺のメールはあまりに素っ気ないことに気づいた。


メールは恋愛の手段だと言うことに、気づかされた。


芹霞が真っ赤になるようなメールを書いてみようか。


少しでも俺を意識するように。


だけどやはりどうしても素っ気なくなってしまって。


それに対して芹霞は文句を言うけれど。


お前は、一体俺に何を求めているんだ?


行間から、何か芹霞の心が読み取れないか何度も読み返してしまう。


『櫂、明日も待ってるね(はあと)』


ああ、絵文字っていいな。


声では判らない感情が目で見えるから。


ハートマークには、どんな感情が隠されているんだろう。


俺がお前に感じるような感情だといいな。


俺が使ったら、軽い男だと軽蔑されないだろうか。


だからやはり、


『ああ、待ってろ』


素っ気なくなってしまうけれど。


少しでもお前を振り向かせるために、また俺は変わっていくから。


お前にとって、居なくては生きていられない程、必要不可欠な存在になって、必ずお前を振り向かせてみせるから。



男として意識させてやる。


俺の全てをさらけ出してやる。



だから芹霞。



退院、愉しみにしてろよ?



―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―*―


「どんなに俺が変わろうとも、
お前を想う気持ちだけは変えるつもりはない」






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