さよならさえも、下手だった


その時、いきなり部屋のドアが開いた。

いや、無理やりこじ開けられた。



「いつまでのろのろしてんのかと思ったら…。夜十、お前何してるわけ?」


「旭…」

そう、そこにいたのは俺の同業者、旭(アサヒ)だった。

まるでその名前の持つ響きと同じ朝日のような明るい色の髪を揺らして、彼は音都の首に手をかけた。
彼は見た目からは想像もつかないほど力が強い。
だからいつも武器は何一つ持たずに任務を遂行していく。


そんな力で首を絞められたら、音都は。


「やめろ!」

あわててその手を掴むと、旭はきょとんとこちらを見た。

「なんで止めるんだ?」

「なんでって、」


そんなの、決まってる。

「これは俺の依頼だ。邪魔するなよ」


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