灰かぶり姫 -spinoff-
少し髪が伸びた。


化粧もほんの少ししてる?


色の白さは変わってない。



たった今まで会えば何を言おうか悩んでいたクセに、会った瞬間それすらも頭によぎらない程に声を失ってしまう。



「あの…雪やんね?」


「え…あ、あぁ、うん。ごめん、久しぶり」


「うん…久しぶり」



挨拶さえままならない自分が情けなくて仕方ない。


美由紀が隣に座るのが見えたが、正直何から話していいかわからないままだ。


しばらく無言が続き、先にそれを破ったのは美由紀の方だった。



「焼けたね」


「あぁ…こっち来てからずっと海とかプール行ってたから。別に引越先が南国なわけやないで」


「ん、知ってるよ」



ほんの少し、だけどぎこちなく笑った美由紀が急に今まで以上に愛しく思えてしまう。



だって、前まではぎこちなく笑う事すらなかった。


やっと会えた。


手を伸ばせば抱きしめる事だって出来る。


だけど、美由紀にはもう好きな誰かが居て、そいつと付き合ってる。


今なら、優しく出来そうな気すらするのに。

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