屍都市
そんな事を言った矢先だった。

「……?」

山田、そして雄大も耳を澄ませる。

…地上…駅の構内の方が何やら騒がしい。

ゾンビ達が一斉に唸り声を上げているようだ。

加えて聞こえてくるのは人の声。

「……!」

山田が思わず立ち上がる。

もしかしたら、山田のメールでの呼びかけに応じた仲間達だろうか?

ここに脱出口があると知った生き残りの面々が、到着したのだろうか?

期待と不安に鼓動を高鳴らせながら、山田は近づいてくる足音と声を、固唾を呑んで待つ。

…やがて。

「こっち!こっちが地下鉄のホームよ!」

複数の足音と共に、三人の女性が階段を駆け下りてくる!

最初は理子、続いて幸羽。

最後に。

「大丈夫、ゾンビ達は追ってこないわ!」

スコップを握り締めた作業服姿の純だ。

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