屍都市
仲間達の再会と無事を喜び合っていたいのはやまやま。

しかし。

「!」

上ではゾンビ達の唸り声が聞こえる。

いつ地下鉄のホームに降りてくるかわからない状況だ。

ここに長居するのは得策ではないだろう。

「先を急いだ方がよさそうだね」

スコップを拾い上げ、純が言う。

勿論左手は、雄大の手をしっかりと握ったままだ。

「ぼ、僕が殿(しんがり)を務めます~…皆さんは先に~」

山田がゾンビ達の追跡を引き受ける危険な最後尾を買って出た。

「じゃあ、私が先頭を行くよ。幸羽ちゃんと理子ちゃんは雄大を頼むわ」

純がスコップを構える。

「はい、雄大君は任せて下さい」

「雄大君、お姉ちゃん達と一緒に行こうね」

純に代わって、理子が雄大の手を握る。

いよいよ脱出。

5人はホームから地下鉄の線路へと下り、先に進み始めた。

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