屍都市
「痛いぃいいぃっ!あぁぁあぁっ!あぁぁぁぁあぁあぁッ!」

火がついたように声を上げて泣きじゃくる雄大。

その痛がり方は普通ではない。

まさか…その場にいた全員に最悪の予感がよぎる。

「雄大っ、手を…ちょっと手を見せてごらん!」

引っ掻かれた雄大の右手の甲を注意深く見る純。

その傷口に。

「!!」

おぞましく蠢くものがあった。

雄大の皮下をうぞうぞとうねる醜悪な生き物。

事態は最悪の方向へと向かっていた。

雄大は、寄生虫に侵入されていたのだ。

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