屍都市
純がヘナヘナとへたり込んでしまう。

(もう…駄目だ…)

ここに来るまで、何人も寄生虫に侵入された人間を見てきた。

誰一人として、寄生されてまともでいられた者はいない。

発狂するほどの激痛に苛まれて、地獄の苦しみを味わわされた後に絶命する。

それでも尚足りず、安らかな眠りすら妨げられてゾンビとして目覚めさせられるのだ。

まだ幼い雄大ですら、その呪われし蘇生から逃れる事はできない。

目の前で最愛の我が子が苦痛に喘いでいるというのに、どうしてやる事も出来ない。

「ママぁっ!痛いっ!痛いよぅっ!」

縋りつき、泣き叫ぶ雄大。

それを前にして、ただ涙がこぼれる。

「……っ」

あまりに無惨な光景に、理子が顔を背けた。

山田も拳を握り締めたまま、どうしてやる事も出来ない。

しかし。

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