屍都市
「雄大君」

幸羽は苦しむ雄大に語りかける。

「これから少し痛い事するの。でも、雄大君の中に入った悪い虫をやっつける為だから…ちょっとの間だけ我慢してね?」

そう言って、彼女は雄大の口にハンカチを噛ませた。

舌を噛まないようにする為だ。

そして。

「あぁぁあぁあぁぁあぁあぁっ!」

一際甲高い悲鳴を上げる雄大。

幸羽はカッターナイフで、雄大の腕…寄生虫の蠢いている箇所を切ったのだ。

無論麻酔などこの場にはない。

しかも本来医療用具ではない、切れ味の悪いカッターナイフだ。

その痛みは相当なものの筈。

「しっかり押さえてて下さい!」

幸羽が指示を出す。

「雄大君、頑張ってっ」

悲痛な悲鳴に顔を顰めながらも、雄大の手足を押さえる山田と理子。

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