屍都市
皮膚の上から寄生虫を摘み、逃げられないように捕まえながら、幸羽はカッターナイフを動かす。

切開が済むと、今度は消毒したピンセットを傷口に入れ、寄生虫を摘む。

「あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁぁぁあ゛っ!」

喉から搾り出すような呻き声。

ボロボロと涙をこぼし、雄大が体をのけ反らせて苦しむ。

「…っっ…」

両手を合わせ、跪いて。

純はただただ祈る事しかできない。

(神様…!)

目を強く閉じ、必死になって祈り続ける純。

やがて。

「え…」

あれ程泣き叫んでいた雄大が、突然ピタリと声を上げるのをやめた。

体も動かなくなる。

まるで、絶命したかのように…。

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