屍都市
そんな、気は荒いながらも温かい仲間達がいる現場。

…この時間ならもう現場に集合している筈だ。

彼らは無事だろうか。

この混乱の最中、ゾンビに襲われたりしないだろうか。

誰も怪我せずに避難できているだろうか。

息子の事と同じくらいに彼らの事が心配で、純はひたすらに走っていた。

呼吸を荒くし、びっしょりと汗をかいて。

「はぁっ、はぁっ、はぁっ…」

ようやく彼女は工事現場へと到着する。

いつもなら重機の音と作業員達の掛け声が響く、静寂とは無縁の場所だった。

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