とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
虎太郎はテントを担いで走って来るのが見えた。
「うっ…右京~~…
ひどいじゃんかぁ…」
「…虎太郎…言ってる事とやってる事が合ってない」
橋本は半眼で虎太郎を見ながらボソッと言った。
「虎太郎、倉庫にまだ残ってるぞ?」
俺はそう微笑んで言うと、虎太郎は喜んで再び倉庫に走って行った。
「…ウリ坊が鬼に見えた…」
「ふっ…虎太郎の扱いは得意だ。」
それからテキパキと虎太郎を使い、体育祭準備は驚きの早さで終わった。
「二人とも助かったよ!」
橋本は缶コーヒーを投げて寄越すと上機嫌でそう言った。
「いや、意外と楽しかった。」
「しっかし、二人とも噂通りの筋肉バカだな…」
そう言いながら橋本は俺の腕を触りだした。
「…男に触られても嬉しくない…」
「これタトゥーか?かっけーな!」
フォカロルの契約証を触りながら聞く橋本に「そんな感じ」と適当に答えた。
3人で校舎にもたれながら話していると、下級生に声を掛けられた。
「黒崎先輩、日向先輩ありがとうございました!」
「ん。おつかれ~」
俺はヒラヒラと手を振ると嬉しそうに走って行った。
「お前ら人気あるよな~バカなのに…」
「バカは余計だ!」
「かっこいいのに鼻にかけないし。
モテる訳だわ…」
「興味ねーよ。」
「忍さん以外な?」
「ん。忍しか興味ねー。」
橋本はそれを聞くと会わせろとうるさかった。
「でも文化祭来るって言ってたな…」
「マジか!?」
「…一波乱起きそうな予感がする…」
虎太郎がそんな事を言っていたが、俺はあんまり気にしていなかった。