とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
突然明るくなった店内に一瞬目が眩んだ。
まず驚いたのは人の多さだった。
ずっと声を潜めていたのか、こんな沢山の人が居たなんて気付かなかった。
…というよりも入って突然拉致されたから気付く余裕が無かったのだが…
入り口近くにセリに目隠しをされた忍が見えた。
「…!!」
思わず息を飲んだ。
純白のロングドレスとベールに包まれた女神…
そこで自分が着替えさせられた服がモーニングだった事に気付いた。
「やられた…」
俺が片手で顔を覆うと、虎太郎が嬉しそうに笑った。
「いくよ~!?
…せーの!」
「HAPPYbirthday!!」
忍の目隠しが取られ、みんなが一斉にクラッカーを鳴らした。
ベールの内側で目を丸くして驚く忍に降り注ぐ紙吹雪。
セリに背中を押されてみんなの間をゆっくり歩く忍は満面の笑みを浮かべていた。
途中で俺に気付いて足を止めた。
「え?右京?」
驚いて立ち尽くす忍に俺は段差を降りて近付いた。
忍の目の前に立つとベールを上げた。
「おめでとう、忍。
すげー綺麗だよ。」
そう声を掛けると忍は照れたように笑った。
俺はそんな忍の腰を左手で引き寄せ、右手で顎を掴むとちょっと長めのキスをした。
周りから歓声やらブーイングやらが沸き起こった。
「黒崎、フライング禁止!!」
「主役が来るまで待てよ!」
そんな声を無視してもう一度軽くキスをすると忍の膝の裏に手を入れてヒョイと抱き上げた。