とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
屋上から街を見下ろすと眼下には夜景が広がっていた。
「綺麗ね~…」
「忍の次にな…」
「もう!自分の彼女をそんなに誉めてどーすんの?」
「本当の事だろ?」
忍は困った様に笑った。
「今日の忍は特別綺麗だよ。」
「ドレス着てていつもと一緒だったら困るよね…」
「さっきガクが言ってたんだけど、忍のウエディングドレス姿は俺へのプレゼントらしいぜ?」
「えぇ!?」
「後でお持ち帰りさせて頂くよ…」
「ばっ…ばか!」
赤くなって俯く忍に微笑んだ。
「…なぁ忍…」
「ん?」
「俺、忍に秘密にしてた事ある。」
「…なに?」
ちょっと忍は顔を強ばらせた。
「進路…決めたんだ。」
「…」
「…忍?」
「…言えなかったのには理由があるんでしょ?」
「…」
さすがに鋭い忍に俺は言葉を詰まられせた。
隣で深呼吸すると忍は真っ直ぐ俺を見た。
「…言って…」
「俺…卒業したら…イギリス行く。」
「…イギリスかぁ…遠いなぁ~…」
忍は夜空を見上げて目を閉じた。
「…“留学”が目的って訳じゃないわよね?…」
「ん。表向きは“留学”。
…本当の目的は…」
…ルシファーの野望を阻止する事…
「…分かってる。」
一呼吸置いて忍は立ち上がると両手でフェンスを掴んで欠けた月を見つめた。