とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
その後ろ姿は寂しそうで見ているだけで胸が締め付けられた。
俺は静かに忍に近づくと後ろからギュッと抱きしめた。
「…忍…ごめんな…」
「…大丈夫。…私は…大丈夫…」
そい小さく呟く様に言う声は微かに震えていたのが分かった。
…多分…泣いてる…
「忍…こっち向いて…」
「…嫌…」
「忍…」
「…今ヒドい顔してる…」
「…泣かせてごめんな…」
その一言に忍は一気に泣き崩れた。
俺の胸に顔をうずめて泣き続ける忍を…
…俺は抱きしめる事しか出来なかった。
忍の艶やかな髪に頬を寄せて俺は口を開いた。
「…いつ決着が付くかわからないけど…全て終わったら…
…もう一度ウエディングドレスを着てくれる?」
忍は涙で真っ赤になった顔を俺に向けた。
「…もう一度…俺の為に着てくれる?」
「…ずるいよ、右京…
そんなの嫌なんて言えるわけないじゃない…」
溢れ出る涙を指ですくいながら俺は微笑むと、濡れた頬に優しくキスをした。
忍は俺の首にしがみつきポロポロと涙をこぼしながら無理に笑顔を作った。
「…仕方ないから待っててあげる…
…でも、あんま待たされたら浮気するから!」
「…それでも俺は忍を想ってるよ。
愛してる…ずっと…」
何があっても変わらずに愛してる…
「本当にバカね…」
そう言いながら忍は俺にキスをした。
噛みつくような深いキスを…
…それが不器用な忍の精一杯の返事だった。