とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
店内に戻るとセリが走り寄って来た。
「忍、どこ行ってたの!?」
「ちょっとね…私トイレ行って来る!」
バックを掴んで慌てて出て行く忍を見送ってからセリは俺を見た。
「何かあったの?」
「…忍を泣かせた…」
「えぇ!?何したのよ!」
「…俺さ…留学するんだよ…それを言った。」
「…そうだったの…」
「セリ…俺がいない間、忍の事よろしくな?」
「それはもちろん!」
「それを聞いて安心した。」
「戻って来るんでしょ?」
セリの言葉に俺は黙った。
「…忍についててくれないか?」
「…ん。分かった。」
敢えて俺がセリの質問に答えなかった事を追求しないでくれた。
俺はカウンターに座るとガクに「言った」と呟いた。
「…泣かれるとさすがにキツい…」
「泣かれるのが分かってたから言えなかったんだろ?」
「あぁ…言わないで行った方が良かったのかもな…」
「その方がツラいさ。黒崎は間違ってない。」
ガクは俺の肩をバシッと叩くと頭をガシガシ撫でた。
「…ガクって兄貴みたいだな…」
「世話の焼ける弟が多いからな~!」
ニカッと笑うガクに俺も笑みがこぼれた。
「兄貴…面倒かけるけど、俺がいない間忍を頼んでいいか?」
「断る。」
「…クソ兄貴…」
「なんとでも言え!
…忍ちゃんのナイトは黒崎だけだ。
俺はお前の代わりはごめんだ。
…でも困ったら頼れって言っとけ!」
やっぱりガクは最高の兄貴だよ…