とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
それから忍は言葉通り涙を見せる事は無かった。
ひとりでひっそりと泣いているだろう事は分かっていたが、だからと言って俺は敢えて何もしなかった。
泣いている忍を抱き締める事も、優しい言葉をかける事も出来たはずだ。
でもそれは忍の為にも俺の為にもならない。
だからいつも通り。
このまま変わらないような日常を演じるように過ごした。
忍の誕生日から10日程過ぎ、学校では文化祭に向けて準備が開始された。
「今年の3年男クラの出し物を決めたいと思う。」
教壇でクラス委員の早川はメガネを中指であげながら話し出した。
「去年は何だったっけ?」
「お化け屋敷。
でもアレは男クラでは禁止だ。」
お化け役が本気で怖かったのと、暗闇で女子に触りまくった事が後日発覚したのだ。
「じゃあ1年の時は?」
「メイド喫茶だ。
かなり不評だったな…」
男子全員女装したら、かなり気色悪いと言って誰も近寄らなかった。
「メイドがダメなら執事は?」
「女だけターゲットじゃ厳しいだろ…」
「またウリ坊に頑張ってもらわないとなぁ~」
「…なんで俺だけなんだよ…」
「幸い筋肉バカが2人いるからバトルクラブはどうだ?」
橋本がそんな事を言い出した。