とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
葉山と呼ばれた男は小柄で人なつっこい笑顔でこっちに走り寄って来た。
「悪いな、呼び出して。」
「いや、構わないよ。あんたが守護神か!
葉山だ。よろしくな。」
差し出された手を握り返し「こちらこそ」と挨拶を交わした。
「あのサプライズの時見かけたけど、高校生かよ!
年上かと思ってたぜ!」
「こんな容姿だからな。」
そう言って微笑むと葉山は照れたように頭をガシガシ掻いた。
「葉山さんに聞きたい事があるんだ。」
「“通り魔”の事だろ?
俺、襲われた記憶ねーんだよ…」
「何か探してたって聞いたんだが…」
「あぁ…一週間くらい前におばさんがな?誰かを探しててさ。
ボソボソ何か言いながら歩いてんの見たんだ。
で、俺気になったから話し掛けたんだよ。」
葉山はそう言って一週間前の出来事から話し出した。
駅から少し離れた路地で話し掛けたおばさんは『どこにいるか分からない』と呟いていたらしい。
葉山は『誰か探してんの?』と尋ねると、『堕天使さんを探してる』とおばさんは答えた。
その話に俺と虎太郎は顔を見合わせた。
「『堕天使さん』って言ったのか?」
「ああ。間違えない。天使じゃなくて堕天使だ。しかも“さん付け”で。
インパクトあるからハッキリ覚えてるよ。」
「で、そのおばさん倒れたのか?」
「いや、『手伝ってやろうか?』って言ったら抱きついて『ありがとう』って…
そっから記憶があやふやなんだ…」
「俺がおかしかった葉山に会った時も、何か探してたけど“堕天使”かもしれないな。」
腕を組んだゴウはそう呟いた。