とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
結局、問答無用で合コンは参加するように言われた。
「お前だけムカつく!
強制参加だ!」
はぁ…マジで萎える…
帰宅するといつものように着替えて道場に向かう。
今日はちょっと時間が早かった様で、門下生がまだ稽古をしていた。
道場の端に座りその様子を見ていた。
「見学ですか?」
急に話しかけられて振り向くと中学生位の女の子がいた。
「私通い始めたばかりなんです。」
「そうなんだ。…稽古キツイか?」
「はい!でも師範がとても丁寧に指導してくれますから楽しいです!」
「…丁寧に…指導…だと?」
あの師範が丁寧に指導…
「大丈夫か?セクハラされてな…うぉ!?」
いきなり飛んできた木刀が足の間に刺さる。
「なにすんだよ!?クソジジィ!」
「なにがセクハラじゃ!お前と一緒にするな!」
くっそ~~!
今すぐ張り倒したい衝動にかられたが、まだ数人の門下生が居たのでこらえた。
床に突き刺さった木刀を抜き取ると師範に投げ返した。
「ふん!一旦家に戻ってるから、俺」
銀髪を掻きながら道場を出ようとすると、師範に呼び止められた。
「そういえば右京。
お前の友人とやらが門下になりたいと言って来たぞ?」
「友人?誰だ?」
「日向と言ったかなぁ」
日向…虎太郎か!
「なるほどね~
それ、俺の親友だわ。
…丁寧に指導…よろしくな~」
そう言い残して道場を後にした。