とある堕天使のモノガタリ
~INTROITUS~
しばらくして忍はトイレに行くと言って席を立った。
「忍があんなに嬉しそうに男の子と話してるの、初めて見たかも!」
と向かいの席の女の子が言った。
なんだかそれが嬉しくて思わず笑みがこぼれた。
「右京くんが笑った…」
カフェテリアで会った女の子が呟いた。
「そりゃ俺だって笑うさ。」
「だって一度も笑ったとこ見たこと無かったんだもん!」
「忍に“笑顔禁止令”出されてんだよ。
今日はお許しが出たから特別だぜ?」
「ウリ坊の笑顔ヤバいもんな~
忍ちゃんの気持ちわかるわ~」
みんなに茶化され、居づらくなって部屋を出た。
トイレの付近にチャラそうな男が何人か立っている。
嫌な予感がする…
近づいて声をかけた。
「おい…何をしてる…」
男に囲まれて怯えた忍が見えた。
押さえきれない程の怒りが込み上げて来た…
「うるせぇ!
テメーには関係ねぇだろうが!」
そう睨んでくる男達を突如巻き起こった爆風が襲った。
立ち尽くす忍と…
数メートル先まで弾き飛ばされた男達…
「相手が悪かったな…
コイツは俺の女だ。」
そう言って忍の手を掴み引き返した。