群青色のそら

暫くして、無表情になったユウが口を開いた。

「あっそ。それはよかった」


エルの倍以上も尖った声と爽やかな笑顔だった。


(うわっ、一番年上のくせして大人げなっ)

そう思って口を開こうとした。


「ちょっとー…え…」


準備していた言葉が頭の中からスッと消えた。


切なそうで、何かを耐えるような表情。
悲しさと嬉しさが混じった色の瞳。


初めて見る、ユウの感情を露(あらわ)にした無防備な姿だった。


「何?まだなんかあるの?」


「な、なんでもない…」


一瞬のことだったが、悲しそうな瞳が焼き付いて離れない。

(あんな顔されたら、何も言えなくなっちゃうでしょ……)


ユウは何かを隠しているのだろうか。


それとも……


自分自身を守るため?



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