群青色のそら


(一応って、なにそれ!!それじゃあ、勘違いしたあたしだけが悪いみたいじゃない!!くーやーしーーいー!)


突如フツフツと沸いてくる怒り。


さっきまでは消えていた悔しい気持ちが蘇る。


エルは単純な上に極度の負けず嫌いでもあった。


もちろん、本人は「人よりちょっとだけ、負けたくないって思う気持ちが強いだけでしょ」ぐらいにしか思っていない。


(普通に許したくないー!ギャフンって言わせたーい!)


ギャフンとまでは言わないだろうが、エルは普通に許してしまったらユウに色々な意味で負ける気がした。



(よし、ここは)


色々考えた結果、ある一つの行動に結び付いた。


頭に閃いた考えを瞬時にシュミレーションしてから、実行に移す。


エルは全神経を顔に集中させ、ユウに今まで見せた事のないような最高の笑顔を向けた。


そして一言。


「それじゃ、あたしも一応許す。
ちなみに謝ってもらわなくても別に良かったんだけど。
そこまで気にしてないしね!」


ユウは、「え」と声を漏らし目を大きく見開いていた。


ツンと尖った声とは反対に爽やかな笑顔。

正確には三言だったが、明らかに台詞と表情が矛盾していた。

(よし!!勝った!!さすがあたし!!)


喜ぶエルとは逆に、エルとユウの会話を見守っていたショウや他のメンバーは思ったのだった。


(……これってまさかのツンデレ!?)


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