【完】歌姫、そんな声で鳴かないで！

人気歌手を×××-Side Y-

俺の一番古い記憶は、まだ幼い俺に言った、父の言葉だった。



『お前なんか、不幸であればいい。』



父の気まぐれと、母の父への愛から生まれた俺。



ホステスの母が、俺が一人で歩けるくらいになるまで、孤独に育ててくれた。



それは、俺じゃなく、滝本ヒデロウを愛していたから。



だが、父にとっては俺は大好きな仕事の邪魔でしかない。



当然、俺を連れて会いに行っても認知するはずもなく、返答はそれだけ。



しかも、何故俺を降ろさなかった、何故生んだのだ、と母は父の怒りに触れ、父と二度と会えなくなったのだ。