【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
俺と社長、それぞれの思惑は、笑える程に通っていく。



『月野森きらら』は日本ばかりか、その英語力、ミステリアスさ、歌唱力を世界に認められた。あっという間だった。



歴史に残る大スター達だって、そうやって時間もかけずに有名になったんだ。珍しい話じゃない。



俺が有名になればなるほど、苦しむ奴らを思うと、嬉しいのに、瞳の漆黒が濁っていく。



どこから情報を得るのか、社長は母親の状態を俺に知らせてくれる。



「ヤス。貴方の母親、ついに精神的な病気と麻薬のせいで、犯罪者達の病院で寝たきりだそうよ。」



「ふーん。早く死ねばいいのに。なかなかしぶといね。」



こんなことを思う俺は、間違いなく奴らの血の流れた、汚い悪魔。
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