【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「俺は、どんなに足掻いてもあんたみたいに綺麗なものにはなれないから。」



糞。キザ過ぎる。だけど、どうしてかこんなに嬉しい気持ちが溢れる。



でもね、ヤス。やっぱり言ってること、間違ってるよ。



「ヤスはさ、何か勘違いしてるよ。」




私のその返答が予想外だったのか、ヤスは不思議そうに首を横に捻る。



「だって、ヤスは私が見てきた中で、何よりも美しいものだから。綺麗なものだから。あんたは、一つも汚いところなんてない。」



自分でも大胆だと思うけど、私はヤスの、噴水に伸ばした美しい指先に触れた。
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