【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
「へえええ…意外と、地味ね。」



「それが売りで生きてきたので。」



ごもっともな右京さんの意見に、私もさっと切り返す。



もしかしたら、この人がなんとかしてくれるんじゃないか、なんて淡い期待をしながら。



すると、後ろからヌッと手が伸びてきて、眼鏡を奪われ、前髪を上げられる。



「ミズホ、これでもそう思う?」



その声の主はヤスで、乱暴に前髪を引っ張る手を私は必死に退けようとする。



「思わ、ない。…びっくりね。」



そう言われてしまい、恥ずかしい気持ちと淡い期待が消えて残念な気持ちがぐちゃぐちゃと現れた。
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