【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
私はそのままヤスに引っ張って行かれ、一つの部屋に連れ込まれる。



そこには大きな鏡と化粧台、それから衣装があった。



「メイクの野々村。それからアシスタント達。」



ヤスが簡単に紹介したので、私も頭を下げる。



「いい素材がいたもんだね。」



「ああ。これ、優斗の妹だから。」


野々村さんは私の肩に手を置いて椅子に座らせる。



「ちょっと待ってて、君のお兄さんが衣装持ってくるからね。」



低い声が心地好い野々村さんは、大人の男性という感じの人。



兄貴を待っている間に野々村さんはファンデーションを混ぜ始めた。
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