【完】歌姫、そんな声で鳴かないで!
撮影が始まると、ピリリと独特の空気が流れる。



月野森きららの切なく美しい声のその曲が流れ始めると、私の身体が勝手に演技を始める。



ソファーのクッションを抱えたり、それを投げ出したり、ソファーにゆっくりなだれ込むように寝てみたり。



「よし、もう一度Bメロから!」



監督が止めたり、進めたりするのも気にならないくらい、私はいつの間にか撮影に集中した。



それは『月野森きらら』が創る世界観が、私を支配するからかもしれない。
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