君が教えてくれたこと
「今日も行っていいよな」

「ダメって、言っても来るんだろ」
もう、日課になっていた。

学校が終わると、岡田や幸太朗が、僕の部屋へ遊びに来る。
「折越さん、北山ん家行かないか」
「なんで、アタシが行くのよ」
折越律子。

岡田とは同じ中学を卒業している。
「おいでよ」
「アタシ、一人じゃ嫌だよ」
「じゃあ、私も行く」
古賀真由美。

小柄だが、人一倍強がりな真由美が話しに入って来た。
「じゃあ、学校終わったら集まろう」
キリのいい所で、僕は言った。
授業が終わり、僕が座っているいつもの席に集合した。
真由美の隣に立つ由梨と、一瞬、目が合った。
「由梨も誘ったから」
由梨は、少し恥ずかしそうに、僕を見て微笑んだ。
「うん。じゃあ、行こっか」
正直、嬉しかった。
顔に出ないように、必死に平然を装っていた。
皆は、僕達のことを何も知らない。

僕は由梨に、小さく目で合図をした。

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