先生あのね・・・


「萌、最後に『自分は大丈夫だから』って笑って言ったんだ。

俺の方が萌の強さを貰っていたんだろうな。

・・・いつかはこんな事になるかも知れないと思っていたのに

萌に辛い思いをさせる事も
悲しい思いをさせる事も知っていた。

本当ならもっと高校生らしい楽しい恋愛だって出来た筈なのに

俺の身勝手な感情で萌を巻き込んで

我慢をさせて、傷つけて…

大切にしたいだけなのに
いつも泣かせてばかりいた」





マユは自分の目の前で話をする先生に

ただ一人の女性を一心に思い

自分自身と葛藤を重ねてきた

一人の男の人を見た気がした。



そして

それは『教師』の肩書を外した萌の恋人

そのものだった。




この言葉に

先生の愛情と苦しみが伝わってきて

マユの頬を涙が伝った。




「萌はよく泣いていた。
けど、毎日が幸せそうで先生が溢れていた。

萌にとって先生はきっとすべてだったと思う」

マユは先生を見つめた。



「俺にとっても萌の存在はそうだったよ」
 

先生は優しい顔をして話した。




「そんなにお互いが思い合っているのに
どうして離れ離れにならなきゃいけないの?

・・・ねぇ、どうして?」



マユは先生にすがるように泣いた。




「萌はこんなに思ってくれる友達がいて幸せだな」



先生は見守るように

マユが落ち着くのを静かに待っていた。
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