禁断の恋はじめます
「死にたくねー。」

思わず窓際のソファーに座って俺は
そうつぶやいた。


「って自分で願ったことなんだけど
早く死にたいって……
朱奈を失って…希望も夢もなくなって
俺はずっとずっと死にたいって
思っていた。
酒を浴びて 喧嘩して 酔っ払って
女をたぶらかして……
誰か俺を殺してくれって
そう思ってたのに…願いが
聞き入れられたのに…おまえにまた
会ってしまった……。」


窓の外に闇が広がっている。


「おまえに会ってから…
笑っちゃうよ。俺さ 生きたいって
思っちゃってさ…あはは…
どんだけ自分勝手なんか……
俺に未来があったら
おまえを誰にも渡さない…。
絶対に離さないのに…。
こんなに近くにいるのに
抱きしめて全部俺のものにしたいのに
それができないって
俺ってどんだけかわいそーなんだか。」


緑茶の苦さが広がった。


「今日は食べたな。
多分もうこんなに食べれなくなる。
朱奈見ながら楽しかった。
ちっこい時からおまえが
俺の一番の栄養剤だった。
上手くいかない時でも
おまえが俺を応援してくれた
声で前を向けたんだ。」


闇に向かって俺も喋りまくっている。


「俺は緑茶で酔うのかな。」

自分にウケてまた笑った。
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