弱く儚いモノ達へ
ベッドの下に落ちている注射器。
不思議そうに注射器を拾い上げる。
「何やねん。これ?」
ソファーでくつろぐ女に声をかける。
「…。」
硬直する顔。
慌ててすばるから注射器を取り上げる。
「お前。まさか。」
ベッドの下を覗き込むすばる。
そこには小さな箱に入った薬が。
「ジャンキーやったんやな。」
詰め寄るすばる。
「そうや。ジャンキーの何が悪いん。」
不適な笑みをこぼす女。
「ああ。ええ隠し場所やったんやけどな。ここやったらサツに見つかったとしても言い逃れが出来るやろう?うちは知らへんってな。すばるは絶対うちの名前は出さんやろう。うちのこと愛してるんやから?」
開き直ったように話す女。
「出てけ。出てけや。」
薬を女の手へと渡すと強引に家の外へと追い出す。
「二度と来るな。」
冷たく覚めきった目のすばる。
「こんなとこ二度とこうへんよ。」
閉まった扉の向こうで叫ぶ女。