光と闇
魅楼は親族から外へ出ることを禁止された。もともと好奇心旺盛だった魅楼には辛いことだった。
魅楼は皆に内緒で外に出てみた。ほんの、軽い気持ちで。
物陰に隠れて、誰にも見つからないように民家に近付いた。
なんで、俺は俺として生きられないんだろう。
魅楼には、今の現状は理解しがたいモノであり、寂しい気持ちで満ちていた。
「今の王サマは、どんな奴だったか?」
「ん?あぁ、確か魅楼とか言う名前のガキだったような・・・」
ガキと呼ばれたことに怒りを覚えたが、物陰からは出ずに話をジッと聞いていた。民家の中で話す男たちは、魅楼に気付くことなく話し続けた。
「後継者なんて、消えちまいばいいのに・・・」
魅楼の体が反応した。その内、時間は経ったが魅楼は男たちの言いたい事を理解してしまった。
「奴隷身分のせいで、俺たちの人生・・・台無しだ」
あぁ、長年疑問に思っていた奴隷身分で、こんなに苦しんでいる人がいるのか。
魅楼は民家を離れようと背中を向けた。城の外に俺の居場所はないんだ、と感じれば、頭が痛くなるのがわかった。
魅楼は、胸に手を当て目を瞑った。
ズキズキして、すごく苦しい。
歩みを進めようと足を出した。そのままゆっくりと歩くと、風が体をすり抜ける。魅楼の心情からか、とても冷たく鋭く感じた。
疑問に思っていた身分制度。無くならないのだろうか。自分が後継者だったら、それをやめさせる事だってできるかもしれない。

「魅楼様っ・・・今までどこに」
声を張り上げたのは、魅楼の城の門番だった。
魅楼の留守がばれたらしい。魅楼は目を細めた。顔が引きつるのを感じる。
「外に出てはいけません、外は危険・・・」
「うるさい・・・!」
門番の言葉を遮り、静かに言った。門番は言葉を失った。
このお方は・・・こんな目をしていただろうか。外で、何があったんだ。
門番は魅楼の瞳を見つめた


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