トリップ

「なっ・・・あっ・・・!」

かなり動揺しているか、混乱しているようで、手を横に振りながら慌てている様子を露にした。

まさに「違うんだ」と言いたそうな慌て方である。
そして、小さく咳をすると、今度はいつもの調子に戻ったような態度でエリカに言った。

「バカたれ。あれほど大きい声で『来るな』と言ったろう。何考えてる。ここまで危機感が無いなんて・・・」

リクがそう言っている途中、秋乃が後ろから拳骨でリクの頭を殴る。予想外だったのか、リクは「あうっ」と可愛らしい声を上げた。

「バカたれはアンタの方よ。連絡しろってあれほど言ったのに」
「あれは・・・相手の行動もあったし・・・」
「どちらにせよ、暇があったら言えって言ったでしょ?」
「・・・ふん」

鼻を鳴らすと、リクはふらりとしてベットに倒れこむ。

「あたしらが来て正解だったわ。熱があっちゃあんたでも戦いづらかったでしょ」
「え?熱だと?」
「そうよ。後で分かった事なんだけどね、ちょっとした風邪。薬飲ませたから治ると思うよ」
「・・・そうか」

リクはしかめっ面で何かを考えているような顔になる。

「じゃあ今度は・・・俺から怒らせてもらおうか」
「何をあたしに怒ろうっての」
「ハッキリしてるはずだろう。俺が言いたいのは」

そう言いかけてチラッとエリカを見る。そして「少しだけ外に出てくれ」とだけ言ってエリカを部屋の外に出す。いや、半ば強制的に追い出したというほうが適切だ。



< 340 / 418 >

この作品をシェア

pagetop