トリップ

とある小学校、3年B組でひそかに外に漏れることなく行われていたいじめはツトム、つまり昔のキャプテンを苦しめていた。

首謀者は神奈川から引っ越してきた男子生徒、そこから柄の悪いクラスメイトへを広まっていったからだ。その矛先が向いた理由はツトム自身分かっていた。
「冴えない」とか「可愛くない」といった平凡でかつくだらぬだろう。

物を隠されるといったことでは滅多に心など動きはしなかったが、本当に悲しかったのは、書き上げた小説を1枚残らず破られた時だ。

「変なの~。ダサい」
「暗い奴が書く話は、どうせ暗いんだよ」

泣きそうにはならなかった。いや、彼らの前で惨めな姿を見せる気などさらさら無かったし、ショックが大きすぎて泣く気にもならなかった。

唯一、図書館の個室で本を見ているときにだけ、静かに涙がどっと溢れ出す。

誰にも守ってもらえない。

1人でも何にもなっていない。

傍にいてくれる者が、誰もいない。

淋しさと孤独感があふれ出し、ノートに物語を書く鉛筆の動きが止まりそうだった。携帯小説では飽きるほどある「守ってやる」の台詞が馬鹿馬鹿しく思えた。

――簡単に言うなよ。

その場にいたら、そう吐き捨ててやりたいくらいだった。

――守って欲しくたって、守られない奴が世界にどれだけいると思ってるんだよ。どうせ可愛いからだろ?

気付けば、ツトムは静かにそう口走っていた。




< 365 / 418 >

この作品をシェア

pagetop