トリップ
「守り屋・・・」
それらしい名前だ、と思った。
人を守ると聞くと、アニメで言えば正義のように聞こえる。
簡単に言えば聞こえの良い名前だった。
先生の話によれば、守り屋は身寄りの無い者や戸籍の無い者・・・いわゆるホームレスや、殺し屋に何らかの恨みがある者が集まった集団らしい。
話を聞き終えて、あまりに慣れない話だったからか、しばらくボーっとしてから気晴らしに屋上に向かった。
皆学食に行っているからか、屋上に人の気配は無かった。
一人は嫌いではなかったため、壁にもたれてその場に腰を下ろす。
「風・・・吹かんなぁ・・・。」
岐阜では屋上に行けばしょっちゅう風が吹いていたのに、ここではすこし髪がなびく程度だ。
長髪がフワリとなびいたのと同時だっただろうか、屋上の入り口をすこしはしごで登ったところから声が聞こえた。
「教師から、俺達の話を聞いてきたのか?」
エリカはすこし黙って、声のするほうを向いた。
「先輩・・・居たんですか?」
上から顔を出し、リクがゆっくりとこちらを見下ろした。