トリップ
「ここから見ると・・・君が余計に小さく見える。」
「バカにしとるんですか?」
背が低い事を揶揄したのは確かだが、その声にはあざ笑う様子も見下す様子も無く、ただ言ってみただけというような無感情な声だった。
「守り屋のことは聞いたようだが・・・ご感想は?」
「特に無いですけど・・・そんな仕事してて体とか大丈夫なんですか?」
「・・・こっちだってそれなりに対抗できるように鍛えてる。なるべく筋肉で重くならないように、そこらのボディーガードと違って身体能力や柔軟性、軽やかに動けるように鍛えたり、軽い武器や毒を扱えるように仕込んでいる。筋肉や力に頼らずに、俺達は数と知性で養ってる。」
エリカには良く分からない言葉もあったが、要するに危ないが大丈夫という事にしておいた。先ほどの言葉に付け足すように、「それに・・・」と、リクが言った。
「金を貰うためにと必死に守る奴、もしくは守ろうという奴が守り屋には沢山いる。
・・・金のために人を守る奴が多いんだ。殺し屋と同じで・・・。聞く者は誰でも正義の味方と聞こえるが、俺から言えば、ほとんどが金目当ての集まりだ。」
だったら守り屋である自分はどう見ているのだ、エリカはそう聞きたくなるが、今までよりも感情が強くこもっていたせいか、聞く気が失せてしまった。
「じゃあ・・・昨日のあの殺されとった人も・・・」
「ああ、殺し屋だ。・・・といっても、いつもより弱かったし、戦ったというよりは殺したといったほうがいいが。」
平然としていられるのが、エリカには全く理解できなかった。人をそんな風に見下す態度もそうだが、何より殺し屋・・・人を殺す者相手にものともしない態度で向かっていけるのが、一番理解しがたい理由だった。