気付いてよ

「奏、最近なんかあった?」

唐突に質問される。

「えー別にないよー?」

さすがお母さん、気付かれてたのかな?

「あのさ、お母さんはさ。好きなのにその人が全然脈なしで、告白もしてふられちゃったら…」

気付けば、私がっていう主語は言わずにしゃべり始めていた。

「ふられちゃったら?」

「…すぐに忘れられる?」

「奏もバカね〜。あのね、ふられたらはいそーですかって止められるなら、それはそんなに好きじゃなかったってことよ。」

分かった?そういってお母さんはにっこり笑った。

それはまるで私に、すぐに忘れなくても大丈夫って言ってくれてるみたいだった。

「そっか。うん。お母さんありがとう。着替えてくるね。」

「はいはい。」


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