気付いてよ
「かーなで。帰るぞ。」
一週間ぶりに私のクラスに顔を出した幼馴染は、一週間前のそれと全く一緒。
まるでゲームのOPみたいに正確に再現されている。
前回との相違点は、ふった相手が違うことくらいだ。
「うちのクラスまだ終わってないから。」
冷たく言い放つと、奴は気にする風もなく答えた。
「じゃあいつもみたく下駄箱で待ってる。」
「はいはい。」
適当に相槌を打ってドアを閉めた。
ドアの向こう側からは、相変わらず冷たい的な発言が聞こえてきたけど、もちろんそこは無視した。
先に帰ればいい、その一言が言えない私には惚れた方が負けという言葉がぴったりだ。
周りの視線がなんとなく痛かったけど、私は無視して自分の席についた。
生憎仲の良い友達は違うクラスだ。
まぁもうすぐ担任が入ってくるだろう。
その時私の考えを読んだかのように、ガラっという音と共に担任が教室に姿を現した。
いつも通り大した連絡もなくHRはものの5分も立たないうちに、起立、礼、という学級委員の言葉で終わりを告げた。
私の席はありがたいことに一番後ろの廊下側だ。
あいつと幼馴染というだけで文句を言われるのはもう飽きた。
だから私はすぐさま教室を出て、下駄箱に向かった。