気付いてよ

「また別れたんだ?」

呆れた表情の奏に文句を言われる、と思った俺に、今度は今日一緒に変えることになった原因である出来事についての質問が投げかけられた。

本当にこいつは。
一応彼女と別れたんだからオブラートに包んでくれてもいいだろう。

そんなことが一瞬頭を掠めたが、奏は俺がダメージを受けていないことくらいきっとお見通しだ。

でも少しくらい抵抗したかった俺は苦し紛れになんで分かったんだよ、とまるで小学生低学年のように言い返した。

再び呆れた表情の奏は、その理由を説明するのも怠いらしく、俺の質問は無視してもう少し頑張れば、と言ってきた。

それが出来たらどんなにいいだろう。
俺だって好きでこんなことしてるわけじゃない。

本当に俺とちゃんと付き合える子なんてでてくるんだろうか。



その後は、俺が一方的に話してるうちにマンションに着いた。

隣の奏を見れば、めずらしくぼーっとしていて、エレベータの前で突っ立っていた。
だから、もう着いたと声を掛けつつ、俺の話を聞いてなかっただろって言ってやった。

本当はただ一方的に話したかっただけで、少しも怒ってなんかないけど。

そこでふと俺は思い出した。
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