気付いてよ
アドレスを交換して、とりあえず大倉くんは自分の教室へ帰って行った。
別れ際に、今夜メールする、と笑顔で言われた。
本当に爽やかな人で、なんで私を好きになったのかさっぱり解らなかった。
きっと、人を好きになるのに定義なんてないんだろうな。
私だって、どうしてこんなに朋が好きかなんて解らないから。
教室への道をいつもの倍位遅いペースで歩く。
お昼休みなのにちっとも休まった気がしない。
教室に着いて席に目をやれば、違うクラスなのに真那が私の席で待っていた。
開口一番に、どうだった?と訊かれる。
まぁ、真那らしいと言えば、そうなるけど。
「うーん。告白された。」
「やっぱり!」
心底嬉しそうな顔で私を見る。
私の好きな人を知っているくせに、で、どうしたの?とか訊いてくるのにはさすがに参る。
完全に第三者として楽しんでいるのがバレバレだ。
「丁重にお断りしましたぁ。でも…」
その時私の頭には“利用してもいい”って言葉がフラッシュバックしてた。