気付いてよ
「でも?何なに?」
本当にこいつは…。
新しい玩具を見つけた子供みたな顔でずいずい私の方に迫ってくる。
こういうところは中学の頃から全く変わっていない。
今更注意したところで治るわけがないから、指摘するのは止めて、素直に続けた。
「…利用してもいいって言われた。」
「うっそー!やるねぇ、大倉くんも。」
すごいわー、と一人で感心しながらさらに無責任な言動は続く。
「この際さ、利用しちゃえばいーんじゃん?」
「な、な、何言ってんの?」
「その反応はさ、少しは奏もそう思ったってことでしょ?まぁ、奏がそこまで器用だとも思わないけどね。」
読まれてる。
どうやら、私の嘘は本当は気付いて欲しい相手にだけ適用されるらしい。