気付いてよ

「結局…利用しちゃったね。ごめんね。」

「俺も役得だったし、本当にいいんだって。でも、謝るくらいなら、ありがとうって言って欲しいかな。」

謝る私に大倉くんは、おどけた様に言った。

それが、私の気持ちを軽くしようとしてるんだって思ったら何だか、心が温かくなった。

「ありがとう。本当にありがとう。」

2回くらいのお礼じゃ全然足りないけど、私は気持ちが伝わるようにお礼を言った。

「どういたしまして。じゃあ、僕帰るけど、明日もちゃんと学校来てよね。」

また明日って言いながら、私は帰っていく大倉くんを見送った。

大倉くんは私が泣き止むまでずっと、何も言わずに抱きしめていてくれた。

泣き止んでからも、そのことには何も言わずにマンションまで送ってくれた。

マンションまでの帰り道は、醜態を曝してしまったことが恥ずかしくて、大倉くんの顔が見れなかった。
話に相槌を打つのが精一杯で、正直何を話したかもうろ覚えだ。

でも、私の記憶が正しければ、当たりの障りのない内容ばかりだったと思う。



< 57 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop