気付いてよ

私は少し落ち着きたくて、黙っていた。
2人の間に微妙な空気の沈黙が続く。

そんな空気を破って、先に口を開いたのは朋だった。

「そういえばさ、俺今日後輩の幸奈ちゃんって子に告られてさ、付き合うことんなったわ。」

は?
朋はこんなことを報告するためだけに私を呼んだの?

何を言っていいか分からない。
結局朋は来る者拒まずなんだ。

毎回別れた後に色々考えてみせても、それはただのお約束の様なものでしかないんだ。

「…ふーん。そっか。今度は好きになれるといいね。」

手を思いっきり握りしめて、バカじゃないの、そう叫びたい気持ちを抑える。

いつまでもいい加減な朋に、悲しいとか、そんなこと通り越して憤りがした。
もちろんそんな朋を好きな自分にも。

その時、家からお母さんの声がした。

「はーい。今行くー。」

部屋の中のお母さんにそう告げて、チャンスとばかりにごめん。また今度ね、そう朋に言ってその場を後にした。

朋の声が聞こえた気がしたけど、無視した。
< 61 / 140 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop