気付いてよ
私は少し落ち着きたくて、黙っていた。
2人の間に微妙な空気の沈黙が続く。
そんな空気を破って、先に口を開いたのは朋だった。
「そういえばさ、俺今日後輩の幸奈ちゃんって子に告られてさ、付き合うことんなったわ。」
は?
朋はこんなことを報告するためだけに私を呼んだの?
何を言っていいか分からない。
結局朋は来る者拒まずなんだ。
毎回別れた後に色々考えてみせても、それはただのお約束の様なものでしかないんだ。
「…ふーん。そっか。今度は好きになれるといいね。」
手を思いっきり握りしめて、バカじゃないの、そう叫びたい気持ちを抑える。
いつまでもいい加減な朋に、悲しいとか、そんなこと通り越して憤りがした。
もちろんそんな朋を好きな自分にも。
その時、家からお母さんの声がした。
「はーい。今行くー。」
部屋の中のお母さんにそう告げて、チャンスとばかりにごめん。また今度ね、そう朋に言ってその場を後にした。
朋の声が聞こえた気がしたけど、無視した。